2012年12月23日日曜日

Meant to Live

クリスチャンロックなどと聞くと、
キリスト教徒の若者たちが、コンサート会場で手を天に掲げながら
恍惚とした表情で聞いているようなイメージがある。

でも、Switchfoot(スウィッチフット)はグローバルに訴えるメッセージに徹し、
宗教色を表に出さない、秀逸なアルタネイティブロックだ。
中でも、このMeant to Liveは、印象的なギターのリフが聞き飽きない傑作。






















2003年の年間ロックチャートで6位。収録アルバム
「The Beautiful Letdown」は260万枚の大ヒットになり、
「Dare You to Move」と共にラジオで良く流れていた。
映画「Spider-Man 2」で使われていたらしいけど、全く記憶にナシ。




Meant To Live by Buzz Cuts on Grooveshark

Meant to Live by Switchfoot (2003)

Fumbling his confidence
And wondering why the world has passed him by
Hoping that he's bent for more than arguments
And failed attempts to fly, fly

1)
彼は自信のなさに気付きつつ、
なぜ世界が自分の目の前を過ぎていくのか考え込む
自分は口先ばっかりで卑屈になってるんじゃないんだと
離陸に失敗してばかりじゃないんだと願いながら


[Chorus]
We were meant to live for so much more
Have we lost ourselves?
Somewhere we live inside
Somewhere we live inside
We were meant to live for so much more
Have we lost ourselves?
Somewhere we live inside

2)
僕らにはもっと意味のある生き方があったはず
もう僕らは自分を見失ってしまったのかな?
僕らはどこかに閉じこもったまま生きている
僕らはどこかに閉じこもったまま生きている
僕らにはもっと意味のある生き方があったはず
もう見失ってしまったのかな?
僕らはどこかに閉じこもったまま生きている


Dreaming about Providence
And whether mice or men have second tries
Maybe we've been livin with our eyes half open
Maybe we're bent and broken, broken

3)
彼は神の摂理について夢見つつ
二十日鼠と人間には2度目の挑戦があるのかと思いを馳せる
きっと僕らは目を半分しか開けずに生きているんだ
きっと僕らは傷ついて、壊れてしまっているんだ


[Chorus]
We want more than this world's got to offer
We want more than this world's got to offer
We want more than the wars of our fathers
And everything inside screams for second life, yeah

4)
この世界が与えてくれる以上のものが欲しい
この世界が与えてくれる以上のものが欲しい
父親たちが戦ってきた戦争以上のものが欲しいんだ
そして僕の体の中の全てが、第二の人生を求めて叫び出す


We were meant to live for so much more
Have we lost ourselves?
We were meant to live for so much more
Have we lost ourselves?
We were meant to live for so much more
Have we lost ourselves?
We were meant to live
We were meant to live

5)
僕らにはもっと意味のある生き方があったはず
もう僕らは自分を見失ってしまったのかな?
僕らにはもっと意味のある生き方があったはず
もう僕らは自分を見失ってしまったのかな?
僕らにはもっと意味のある生き方があったはず
もう僕らは自分を見失ってしまったのかな?
生きるために生まれてきたんだ
生きるために生まれてきたんだ























○ 解説 ○

このMeant to Liveは、イギリスの詩人T.S.エリオットの「うつろな人間」に
影響を受けて書かれたものらしく、Switchfootのリード、Jon Foremanは
「この歌詞の主人公は僕のことかも知れない。僕らは、心の中のどこかで
美しい真実を探している。ひょっとしたら、もっと別の生き方が
あったかもしれない。」と、どこやらのインタビューで語っている。

また、Switchfootは、自分たちは「信仰心はあるが、自分たちが
クリスチャンロックのバンドだなんて思っていない」とも発言している。
自分たちにレッテルがつけられるのが嫌で、一時はそういった音楽祭に
出入りすることも躊躇っていたらしい。そんな思いからか、Switchfootの曲は
概して複数の意味にとれるような歌詞になっているらしく、
このMeant to Liveにも「Providence」という聖書の言葉は出てきても、
直接的にキリスト教的なメッセージは伝わってこない。



1) 「彼」は、抽象的な意味での若い男。自分の可能性を信じて疑わない
10代が終わり、社会の現実を知って何も達成できていないことに気付く。

「Fumble」は、アメフトなんかで良く聞く言葉で、
ボールが手につかずに落としてしまうこと。この歌詞の場合、
自分に自信がなくてオロオロしているような状態だろう。

「Bent」とは、文字どおり「心が折れ曲がって、傷つき、
ボロボロになっている様子」を表す。


2) この部分だけだと、過去形なので絶望的に聞こえるけど、
歌詞を全体的に読むと、「まだやり直せる」ということを
強調しているのがわかる。非常にポジティブで前向きな歌だ。


3) 歌詞中の「Mice and Men」の下りは、スタインベックの
「二十日鼠と人間」の原題である「Of Mice and Men」から。
いくら計画しても、上手く結果が出ない人生の無常さを歌っている。

また、「Maybe we're bent and broken」は、C.S.ルイスの
「沈黙の惑星を離れて」という小説からの引用だ。
妥協して生きてきて、思い描いていた姿とは異なる自分…。
Foremanさんは、良く本を読む人なんだろうな。


4) 心の中の絶叫で、この曲のクライマックスになる部分。
「第二の人生」は、キリスト教的にカルマ思想はないから、
「本来の別の生き方」という意味だと思う。

5) そもそも「We are meant to live」というのは、
「(誰かに)自分の人生が意味付けされている」ということだから、
このあたりは「神によって生を受けた人の命」という
キリスト教的な意味が込められている。
自分で命を落としたり、自分の人生を投げ出してしまうというのは、
そんなProvidenceに反している。自分が全うすべき人生を考え、
苦悩や後悔に喘ぎながらも、人は生きていくべきなのだ…ってこと。

高校の時、キリスト教信者でもないのにキリスト教系私学に通っていたが、
そう言えば週に一回の聖書の授業で「我々は生かされている」ということを
良く耳にしていたような気がする。
卒業後20年以上も経って、この曲を通して、
その意味が少し理解できたのかもしれない。
まあ、それでも宗教というと、信仰そのものよりも
哲学や教訓としてしか見れなんだけどね。



おススメ
「なんか自分の考えてた生き方と違う」と暗くなった時にポジティブになる曲
人生の意味など深く考えず、息子と車の中でノリノリになりたい時に聴く曲


翻訳・対訳し甲斐のある良い歌だ。
7000曲ほど詰まってる自分のiTunesの中でも、
一番聞いている曲なのが頷ける。




2 件のコメント:

  1. 日本盤に載っているような直訳直訳だけでない解説まで入った丁寧な和訳で、ますますこの曲が好きになりました。
    ありがとうございました!

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  2. コメント、ありがとうございます!

    日々の忙しさにかまけて、このサイトを始めたことも
    忘れかけていましたが、覗いてくれる人もいるようでうれしいです。

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