2012年12月16日日曜日

Human Nature

流星群を見に行った。
とても静かなところで、流れ星が良く見えた。

すると、空からポッ!ポッ!という音が聞こえてくる。
ひょっとして、流れ星が大気圏に突入するときの音なのか?
そんな話は聞いたこともないけど、確かに音は聞こえる。
もちろん、流れ星が見えるのと、聞こえる音は合っていない。
音と光の伝達には速度の差があるのだから当然だ。

中年のおっさんでも、こんなに感動することなんてあるのだろうか?
宇宙の広さ、いや自分の小ささをこれほどまでに感じるのは何故だろうか?

そのときに、頭の中に流れてきたのが マイケル・ジャクソンの名曲
「ヒューマン・ネイチャー」の 「Looking out across the night time」という冒頭部分。

で、気になったので家に帰って歌詞検索してみたら、
美しいメロディやコーラスとは裏腹に、
都会のナンパソングでちょっと残念。
マイケルの天からの啓示があったのかと思ったんだけどねw

せっかくなので和訳してみようと思うが、日本語検索すると、
けっこう歌詞を手掛けている人が多いのを知った。
参照:
大西さん訳
吉岡さん訳

ただ、僕の思う訳とは多少異なるので、自分バージョンの対訳も書いておこうと思う。



Human Nature by Michael Jackson on Grooveshark


Human Nature by Michael Jackson (1983)

Looking out
Across the night-time
The city winks a sleepless eye
Hear her voice
Shake my window
Sweet seducing sighs

1)
夜景を眺めていると、
眠らない街がウィンクしてくる
この街に耳を傾けると、
その声が僕の窓を揺らし、
甘い溜息を投げかけてくるんだ


Get me out
Into the night-time
Four walls won’t hold me tonight
If this town
Is just an apple
Then let me take a bite
 
2)
ここから出してよ、夜の街へと
今夜は壁の中に閉じこもってられない
もしこの街がただのリンゴなんだったら、
僕にも一口くらい味わわせてよ


[Chorus]
If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way

3)
もし彼らがなぜ、なぜって言うなら、
これが人間のサガだって答えてやるよ
なぜ、なぜ彼は私にこんなことするのって言うならね
もし彼らがなぜ、なぜって言うなら
これが人間のサガだって答えてやるよ
なぜ、なぜ彼は私にこんなことするのって言うならね


Reaching out
To touch a stranger
Electric eyes are everywhere
See that girl
She knows I’m watching
She likes the way I stare

4)

見知らぬ人に触れるため手を伸ばす
街の明かりがそこら中できらめいている
あの娘を見てみなよ
彼女は僕が見ているのに気付いているよ
僕の視線にまんざらでもないみたいだ


If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way
I like livin’ this way
I like lovin’ this way

5)
もし彼らがなぜ、なぜって言うなら、
これが人間のサガだって答えてやるよ
なぜ、なぜ彼は私にこんなことするのって言うならね
もし彼らがなぜ、なぜって言うなら
これが人間のサガだって答えてやるよ
なぜ、なぜ彼は私にこんなことするのって言うならね
僕は、こんなふうに生きたいんだ
こんなふうに恋してみたいんだ


(instrumental section)
Looking out
Across the morning
The city’s heart begins to beat
Reaching out I touch her shoulder
I’m dreaming of the street

 6)
街の夜明けを眺めていると
街が動き出すのが聞こえてくる
彼女の肩をそっと触ってみると
街での出来事を思い出すんだ


[Chorus]
If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way
If they say -
Why, why, tell ‘em that is human nature
Why, why, does he do me that way
I like livin’ this way

[Repeat Chorus - Ad-lib/fade-out]























○ 解説 ○

Human NatureはTOTOがクインシー・ジョーンズに提供した曲だが、
詩の部分は途中までしかできておらず、ジョン・ベティスが2日で仕上げたという。
でも、他の曲同様に、かなりマイケル自身の意思も多分に込められておかしくない。
この詞には、マイケルがニューヨークを講演やテレビ出演で訪れたとき、
もしくはニューヨークにいることを想定して、彼の思いが書かれているのだろう。

この時、マイケル25歳。マイケルは、子供の頃からスーパースターであり、
移動の車の窓から、公園で同じ年くらいの子供が遊んでいるのを見ては、
とてもうらやましく思っていたのだという。それは成人しても同じこと。
まだAIDSが拡散する前の1980年代前半、他の20代の若者がそうだったように、
街に繰り出して女をナンパし、一夜を過ごしてみるというような。
”普通の男の経験”に、彼は大きな興味を持っていたはず。



1) ニューヨークに来たのに、夜は父からホテルに缶詰めを言い渡される。
 マイケルが窓から階下に往来する人々をじっと見ている……。
そんな情景が思い浮かぶ。


2) リンゴはニューヨークの愛称「ビッグアップル」のこと。
都会で繰り広げられる 若者の生活を味わってみたい。
そんなマイケル自身の叶わぬ欲望が描かれている。
Four Wallsの部分を直訳すると、「4つの壁は、今夜の僕を束縛できない」。
なんだか、大スターの悲しい日常が見えてくる。


3) 訳としては難しい部分だと思うし、様々な解釈ができるからこそ名曲になり得る。
でも、僕的にはココの「彼ら」(tell'em)が誰なのかというと、タブロイドメディア、
お父さん、そして音楽業界の関係者、兄弟や親族たち。

マイケルの行動が「奇行」と騒ぎ立てられるようになり、そんなウソを信じた
肉親さえも誤解する。もはや普通の人間として生きていくことさえできなくなった。
マイケルにだって、普通の人間の持つ”ヒューマン・ネイチャー”はあるのに……。


4) マイケルがナンパを決行するシーンの描写。
でも、マイケルがナンパの成果を語りかけているのは、
街の照明や電飾、信号たちだ。 無機質な街の灯りにとっては、
マイケルは一人の人間でしかなく、唯一マイケルが心を開ける相手なのかも知れない。


5) 「Why, why, does he do me that way」の「彼」(he)の部分は、
神と訳されたり、 アメリカでも「ゲイ説」に発展したりしているけど、
ここはマイケル自身のセリフじゃなく、
「どうしてマイケルはあんなことを私にするの?」というような、
マイケルの行動に対する周囲の人たちの困惑した会話が重ねられていると考えるべき。

1つの文として並び替えるなら、会話文としてブロークンになっているけど、
「If they say why does he do me that way, I'll say that's a human nature.」となる。
だから「僕はこんな風に生きたいんだ」へと繋がってくる。


6) 朝を迎えたホテルの中で、一夜を共にした女がベッドに横たわる。
その女の肩を触ると、昨夜のナンパのドキドキ感を、もう一度味わいたくなってくる。



回りの者からは束縛され、誤解され、パパラッチに追いかけられては
あることないこと書き立てられる。

Human natureは、 人間のサガである性欲さえも満たせない、
そんなマイケル・ジャクソンの鬱憤を描いた歌だ。


ただ、皮肉なことにこのHuman Natureが収められたアルバム「Thriller」が
空前のヒットを飛ばしてしまい、彼はスーパースターからキング・オブ・ポップに昇華。
王となった彼は、もはや恋愛という”小さなこと”にも構うことさえ許されず、
1984年の「We Are the World」以降は、人類愛や環境問題といった、
より大きく、普遍的なテーマの歌詞を中心に、歌い上げていくことになる。


おススメ
常にスポットライトを浴びながら、寂しさから逃れなれなかったマイケルの素顔を偲ぶ曲
他人の目に束縛されて、自由に行動できないもどかしさを感じたときに聴く曲
 



アメリカに渡り住んで、もう四半世紀近くにもなる。

知らず知らずのうちにアメリカ文化に精通している…ような気がしている。
気が向いたときに、好きな曲の和訳やアメリカの風景でも描写していこうと思う。



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